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自治体営業は農業と同じ!?




先日、弊社が自治体営業をご支援しているクライアント担当者様(A様)より連絡がありました。

『自治体営業が農業に例えられることが良く分かった』とのこと。

A様の体験談

事の始まりは、A様が6月に、某自治体へ営業のアポイント電話をかけたことでした。

自治体が抱える地域課題を聞き出して自社のサービスの有効性をアピールしても、暖簾に腕押し、塩対応。

「来てもらっても困るので、資料を送っておいてください。」と言われて、仕方なく自社の実績や会社概要、サービスメニューをまとめた資料をレターパックで送るしかありませんでした。

当然その後も何のリアクションもなく4カ月が経過し、そろそろレターパックを贈ったことも忘れていたころ、その自治体担当者からメールがあり、「来年度予算の見積もりをいただきたい」と依頼されたそうです。

じつはA様、この夏から全国の自治体担当者宛てに、自社のサービスや他事例研究、政府動向を解説したニュースレターを毎月発行しており、某自治体で塩対応をされた担当者にも送付していました。

A様から送られてくる情報の質の高さや実績のユニークさ、他自治体での導入のヒントなどに定期的に触れ、「見積で声を掛けたくなる存在」になっていたらしいのです。

なぜ自治体営業が「農業」に例えられるのか

自治体営業では、ファーストコンタクトから契約までのリードタイムが長く、短くても1年、長くて数年がかり。

予算や契約手続きなどを取り決めている「地方自治法」の制約から来ており、自治体営業を行ううえで避けては通れない条件です。

このため、民間営業に慣れている企業だと、すぐに売上が見込める民間ビジネスに多くの時間を割いてしまい、結果として自治体営業の仕込みができずに成果が上がらず、市場から撤退せざるをえないという状況が発生します。(私の感覚ですが、結構な頻度です。)

持続的に自治体からの委託を獲得している企業に共通しているのは、

①2年後を見据えた情報収集・サービス開発・情報提供 =「種まき」

②1年後を見据えた事業提案・見積対応・予算化支援 =「育苗」

③今年のプロポーザル提案・獲得 =「刈り取り」

の3つの段階の違いを理解し、それぞれ並行して進めていることです。

もっと具体的に言えば、

種まき段階では、自治体が抱える真の課題を理解し、自社のサービスを開発し、自治体の意見をもらいながらブラッシュアップする。

育苗段階では、そのサービスが自治体で採用されるために、意思決定に必要な情報提供や支援を行う。

最後の刈り取り段階では、これまでに収集したオリジナルの情報源を武器に、他社にはまねできない質の高い提案を行って競争に競り勝つ。

この段階を無視し、目先の新規プロポーザル公募だけを追いかけても、その時点ですでに他社との情報戦で負けているので、勝率を上げることは難しくなります。

まず、種をまこう

最初に挙げたA様。

「種まき」をしようと自治体にコンタクトをとったところ断られ、めげずに自社のサービス開発を続け、その情報をニュースレターで発信し続けました。

そしてその努力がある日芽吹き、突然の見積依頼につながったのです(いわゆる「育苗」段階)。

まだまだ刈り取りまでに障壁は多く、売上につなげるためのアクションは気が抜けませんが、まずは最初の難関を突破できたことは確かです。

プロポーザルに向けて自治体担当者から相談を受ける機会も増えますし、公告が出たら「案件出ましたよ」と声をかけてもらえることでしょう。

自治体営業の活動がぐっと楽になり、効率も上がっていく瞬間です。

目の前の売上を追いかける「狩猟型営業」では成果を上げにくいのが自治体営業です。

事前営業をしていなくても、さまざまな条件が重なって、偶然にもいくつかの案件が取れてしまうこともあります。

しかし、これは本当にレアケースであり持続性はありません。

他社が仕掛けている案件での勝率は低くなり、他社が手を出せない採算性の低い案件しか参入できず、売り上げ規模を伸ばすことは難しくなります。

また、事前にすべての条件が明示されていないので、契約後に「そんなはずじゃなかった」ということが頻発し、思わぬ費用がかさんで赤字プロジェクトになることも。

自治体ビジネスの王道は「農耕型営業」だということを念頭に、すこし中長期的な動きにも取り組んでいただけたらと思います。


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